華藤えれな&佐々木久美子(幻冬舎リンクスロマンス)
永田町を舞台とし国会議員を焦点を当てたクールでかっこいいストーリーです。なんというか、すごい気に入っております。ハッキリ言ってこの作品はBLだけにとどまっていない、腹黒く醜悪な世界の中をも書いておられる部分がほとんどでだからこそ本当にクール!タイトルもいいですよねぇ・・・物語をこの4文字で見事に表現しきっていると思います。シンプルだけど男くささや気骨さがにじみ出ております。全体的な読後の感想としては「コレはもうBLを越えている」といった感じです。恋愛なんてスパイス程度です。もちろんジャンルはやっぱりBLなんで、そこをはずす事は出来ませんがキャラ設定としての立場や位置関係、人間関係が上手いです。ベッタベタに甘いだけのBL小説が氾濫する今のご時世にこういうものがあると感動しますね。
この物語の主人公である瑞木(受)は悪徳と名高い大物閣僚だった人間の息子です。本来彼は父親の行為(癒着や賄賂)と言った悪行を嫌う人間なのですが、やはり父親の存在は大きく自分はそういう行為はしないと決めつつもどこか流されながら永田町という黒い町で生きています。そんな瑞木が考えが読めず飄々としているくせに「喰えない男」と判断したのが、対立政党に属している高遠(攻)。ちょっとしたきっかけから瑞木は高遠の助けを受け、活動上での注意を受けるのですが、それからは偶然かそれとも高遠の策略かどうしても高遠と関わる機会が増えていく。酔った勢いで身体の関係まで持ってしまった後に、過去高遠の父親を罠にはめ殺した人間が自分の父親と知る事になったりと大きな問題が続出しますが、それでも瑞木は高遠の政治家としての才能や決意から人間性そのものに惹かれていくのです。
あらすじだけを読むと本当にBL感が薄いのですが、そこは本当に上手く書き分けていらっしゃいます。二人が対立政党という立場もまたスリル感を上げてくれるので、物語としてどういう関係で決着を付けるのかをすごく期待しながら読みました。この本を読むだけで政治にちょっとだけ詳しくなれます。そして興味を持てるようになるかもしれません。それほど、この作品は政治というものとBLな部分が上手くマッチングしている。結末としている二人の関係や今後の設定などもかなりかっこいい!クセ者だらけでアクの強い1冊かもしれませんが、「甘いだけが恋愛じゃない!!もっと大人で骨太な恋愛を読みたい!」と思っている方にはぜひ読んで頂きたい1冊です。

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