剛しいら&巴里(フロンティアワークス・ダリア文庫)
"月の秘密"〜"夜の秘密"と続いていたシリーズの最新作と言うか、リンク作品と言うか、とにかく人外好きには楽しい一連のこのシリーズですが最新刊はついに純粋種の吸血鬼が主人公です。とは言えちゃんと前作のこのシリーズの起点でもある月組の巴&太地も結構出張っております。夜組の真城&高瀬の巴の息子コンビはラストでちょっと登場するだけで終わっているのが少し残念だったかな。
ある日突然、大好きだった両親を事故で亡くした天之昴(あまのすばる・受)はその孤独感を癒すように特に敬愛していた父親の趣味でもあった天体観測を一人でしていたところ、目の前に突如とした現れた「名前に意味のない」と自称する吸血鬼に心を奪われる。恐怖よりも先に自分をまだ求めてくれる存在がいたという喜びの方がより強かった昴はその場でこの吸血鬼の血液提供者となる旨を承諾し契約が成された。その夜の記憶は曖昧だった昴ですが、後に巴に連れられ吸血鬼と再会する。巴と違い純粋種であり同胞からは騎士の地位を与えられているその吸血鬼はやはり名乗らず、他の血液提供者にはマスターと呼ばれていた。しかし昴は巴に習って吸血鬼を侯爵と呼ぶようになる。
作中にはでは取り上げられていませんが、昴が他の提供者と違って侯爵と名乗るのはやはり嫉妬的な気持ちが彼の中にあるからかな、と思いました。昴は何故か出会いから恐怖というものを侯爵に全く感じず、逆にどんどん恋情に突き動かされ侯爵を愛してしまう。そのため、他の血液提供者の存在に嫉妬する場面が多々ある。その辺から呼び方にも彼の嫉妬心を表現したのかなと勝手に思っております。まぁ他の提供者よりも先に巴に出会っているから単にその影響かもしれませんが、こう思っていたほうがより恋愛らしくて楽しいので思い込んだままにしておくつもり(笑)
侯爵は過去において愛するものを喪うという辛い経験をしているためか、敢えてそういった感情を持たないように長い間を過ごしていた。それを今回打ち壊したのが昴です。彼の無償の愛が千年という長い年月をかけても癒えなかった侯爵の孤独を埋めることに成功します。ただ、昴視点で全体が進行するのでちょっと侯爵の気持ちの変遷が読み取りにくかったのは難点でした。昴の感情は最初から恋愛のそれでありましたし、ストーリーが進むにつれてそれ以上の感情になっていくのは予想もつくし理解もしやすい。その分、伯爵側の感情の流れがハッキリしないのはちょっと気になりました。多分、侯爵自身も己の感情にハッキリとした答えを出し切れていないのでこれがベストなのかなという気もするんですけどね。
ちなみに、今回の作品で普段の巴達が何をしているのか知る事が出来ます。今までとはちょっと違う前作主人公たちの日常生活を垣間見れますので、そこは高ポイントです。今回は純粋種が主人公であるためかいつもより人外イメージが濃い方だと思いますが、恋愛部分において等はやっぱり今回も人間らしいストーリーでした。愛するものを喪うことが何よりの恐怖と感じ、同じ苦しみを味わいたくないから逃げのような行動をしていたり・・・途中のエピソードの数々は確かに人外の持つ驚異的な能力が引き起こすものですが、彼らもまた普通の人間と何ら変わらない感情を持つ生き物であるのだという点が良いです。むしろ悠久の時を過ごさねばならない彼らの方が現代に生きる私たちよりよっぽど人間らしい生き物なのかもしれません。

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腐女子の漫画・小説・アニメのオタク感想文::青(06/02/16)

kotonone::詞の音(06/09/16)
>>さくらさん
こんにちは〜**
>単なる提供者になりたくなかったんですよね。
だと思います・・・半分くらいは私の願望込みなので無理矢理そう思い込んで見ている節があるのも否定はできないけど(笑)
名前というものは重要で大切で、それだけで「たった一人」を指定するものだと思うんですよ。それだけに、今回こういう部分でもちょっとこだわりが感じられて良かったです。
他エントリーてのトラックバックもありがとうございました〜。
こんにちは。
>昴が他の提供者と違って侯爵と名乗るのはやはり嫉妬的な気持ちが彼の中にあるからかな
名前の呼び方一つでも、やはり恋する身としてはマスターとは呼びたくなかったのかなと私も密かに思っていました。
単なる提供者になりたくなかったんですよね。
きっと。
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