英田サキ&笹生コーイチ(白泉社・花丸文庫)
最近とても精力的にお仕事をされている(ように見える)英田先生ですが、ここ最近の作品については皆様それぞれの感想をお持ちのようです。やはり質の高い作品を生み出してしまうとその後の苦労もたくさんあるのだなぁとしみじみ思うわけですが、そんな中でこの作品はいい意味で個性の特出した作品だったと思います。ここ最近の単発作品の中では一番面白かったです。
取引先のお偉方に強姦されそうになった幸村匡樹(ゆきむらまさき・受)は抵抗の際に相手に怪我をさせてしまったために左遷という理不尽な責任を負わされてしまう。更に自宅が火事になるという不運まで重なり住む所を失った彼は友人の紹介で社会人ばかりが住んでいるという下宿屋の桂花荘へしばらくやっかいになる事を決める。普段から真面目で大人しい幸村は常識人であったため社会人ばかりの下宿ならば安心だと思っていたが、そこに住んでいた住人は揃いも揃って個性的な変わり者ばかりだった。仕事に生活にと先行きに不安を抱えた幸村だったが、最も彼を悩ませるのは会って早々に自分に告白をしてきた住人の中馬一成(なかまいっせい・攻)の存在だった。
おもしろい位にクセのあるキャラクターばかりの作品なわけですが、誰しもがどこかに問題を抱えていたり、人間的にはむしろ好ましいキャラばかりなので楽しく読めた。孤児だが純粋で繊細な元気者の哲平、超ナルシストでバツヨン美大助教授の楡崎、優良大学卒業後エロ漫画家になってしまったため勘当された九鬼、そして変わり者達からも恐れられているおっとりした管理人の櫻井。ちなみに中馬は元ホストで今はラーメン屋台の大将という設定だったりします。経歴も境遇も様々すぎるキャラ達がメインのため、逆にその統一感のなさが住人達が家族同様に暮らせる理由なのかもしれません。個人的にはこの九鬼が非常に気になっていたのですが、後書きで雑誌のほうで彼が主役の短編を書いたとあったので近い内に見てみようと思います。まぁ・・・相手が楡崎だという事だけが引っ掛かっていますが(笑)
今回の主役である二人ですが、実は似たような過去の傷を持っている。血は繋がっていないものの我が子同然に愛してきた娘を事故で失った幸村と、自分を頼ってきた妹のようだった少女をたった一度冷たく接した直後に自殺されてしまった中馬・・・どちらも理由も原因も違いますが、彼らは二人とも「もし」という感情に囚われたまま生きていたわけです。そしてその二人を繋いでいたのは幸村の別れた妻だったわけですが、この女性が非常に強烈でして、恥知らずと言うか厚顔無恥とはこういう人の事を言うのでしょうねぇ。人の生き死に運命という言葉で片付けてしまうのは好きではありませんが、この場合はどう見ても妻が幸村を攻める権利はゼロ。こういう悪役としてのアクの強いキャラが出てくるとストーリー上は盛り上がりますが、今回はちょっとその後が急速すぎたかなと思った。もうちょっと引き伸ばしてそこから始まる幸村と中馬の関係に深みを出した方がおもしろかったかも。
思えば、個性的なキャラが多い分、それなりの量をこなさないと自然な流れは難しいのかもしれない。基本的に花丸文庫は文字量は多くはないレーベルなので今回の設定を取り扱うには向かなかったのかも・・・などと、余計なお世話的な事を考えてしまった。手軽に読むにはいいんですけどね、花丸とかコバルトは。今回はそれぞれのキャラクターの過去を思うともっと複雑さを持っても十分楽しめる設定だと思うので、九鬼編のようにシリーズ化するのは賛成。今回は一作目という事もあり全キャラについてのことも書かなければならなかったので、主役二人についてはどうしても薄くなってしまったでしょうが、もし今後も他キャラ編が続くのであればもっと感情面に深みを出してもらいたいと思う。シリアスと非シリアスの分配具合も良いですので、ちょっと期待です。

![]() | ひと目会ったら恋に花 英田 サキ 笹生 コーイチ 白泉社 2005-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools 他店情報 [bk1 | 楽天ブックス] |



月と凌霄花(06/01/09)

腐女子の漫画・小説・アニメのオタク感想文::青(06/01/11)

kotonone::詞の音(06/02/28)
>>さくらさん
こんばんは**
さくらさんも「楡崎」が気にかかっていらっしゃるようですね(笑)
キャラ設定やらあのクセありまくりの様子から、見た目や今回のノリほど明るい内容での展開だけではない気がするのですが、今後は本当にどうなるんでしょうね?
雑誌読まないのでわかんないです、全然!
元妻・・・とんでもないですよね。
確かに目を離した責任はあるでしょうけど、だからってあの元妻が金をせびられるような状況ではないと思うんです。裁判にでもなったらまず元妻の素行が一番裁かれそうな気がします(笑)
ちょっと人が良すぎかな、幸村って。
こんばんは、こちらにも一言。
昨日やっとこれを読み終わり今頃感想を書いてます。
楡崎と中馬…確かに結びつかないですね(笑)
辛い事があってよっぽど荒れてたのだとしても、だからってそこまで進んじゃうのはよっぽどでしょうしね?
>裁判にでもなったらまず元妻の素行が一番裁かれそうな気がします
確かにいえてますね、最後、引き際もいただけなかった「発つ鳥後を濁さず」って言葉がありますが、彼女の場合濁しきってましたよね(笑)
同じ女として母として読んでいて情けなかったです。
TBさせていただきました、ではでは!
>>Juraさん
わわ、コメントいくつもありがとうございます**
英田先生はエスの影響でどうしても他作品がボロクソに言われたりしてますけど、私はこの作品は可能性という点で楽しめたよなぁと思いました。
まぁ、楡崎と中馬は想像外でしたが(笑)
>同じ女として母として読んでいて情けなかったです。
そうそう!
やはり同姓ということも手伝って、見るに耐えないものがありました。
情けないやら、恥ずかしいやらで・・・フクザツですわ。
確かに濁しまくりですね!あはは(笑)
キャラの背景が結構キツイものばかり抱えていますね。
管理人さんはどうなんだろうと思ったさくらです(笑)
こんにちは♪
>相手が楡崎だという事だけが引っ掛かっていますが(笑)
これは私もちょっと思いました。
いったいどういういきさつでそうなったのか……気になります(笑)
しかし、元妻はむかつきました(>_<)
TB頂いていきます☆