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INDEX榎田尤利執事の特権

執事の特権 執事の特権

榎田尤利&佐々木久美子(大洋図書シャイノベルズ)

こう言ってはなんですが、英語よりも日本語が好きです。その字面から韻・性格など・・・とにかく日本語が好きなわけです。このブログ名を英語タイトルにしておいて何を言うという感じですが日本語好きなわけです。そこでこの作品のタイトルにある「執事」という言葉ですが、これがバトラーと表現されると自分としては少しイメージダウンをしてしまう。もちろん間違ってもいないしむしろ正しいのですが執事という文字のイメージが与える印象とバトラーという文字の与える印象は必ずしも一致するわけではない・・・と。そう思うのです。ま、雑談ですが。

乃木坂製薬という業界でも大手の会社が社員募集をしていたため就職のチャンスだと原田仁(しのぶ・攻)は面接を受けに出向く。しかし自分の経歴が誇れるようなものではないとわかっていたため、上手くいくとは思いもせずにいたが、そんな本人をよそにトントン拍子に合格を繰り返しついに最終面接へと辿り着く。しかし、最後の最後に大きな落とし穴が仁を待ち受けていた。営業職希望だったが実際に彼が選ばれたのは27人目の特別秘書候補という形だった。それでも「やるだけやってみる」がモットーの仁はその最終面接&試験を受けることを決意する。意気込みも新たに仁は面接担当だった富益に連れられ着いた場所は乃木坂乙矢(受)の住む広大な屋敷だった。

久しぶりにキャラ萌え(?)をしてしまいそうな作品でした。この作品は仁と乙矢の遣り取りが主軸となっているのですが、これがおもしろいのです。しかも、乙矢は人間嫌い・毒舌家・潔癖症という人間のため余計におもしろい。乙矢は決して厭世的な人間というわけではありません。むしろ優しい人間です。だからこそ彼は潔癖症という病に侵されている。潔癖症というものの原因は多種多少ですが彼の場合はいわゆる「脅迫障害」というものの弊害です。この病気について詳しくはありませんので説明ははぶきますが、乙矢は幼い頃から母親に汚い人間だと言われ続けて育ってきたことが全ての原因となっています。自分以外のものが不潔に思えるから潔癖症というわけではなく、自分が汚らしいから周囲の人間を不快にさせたくないという思いからくるものです。
それでもなお、乙矢は原因となる母親を憎むこともできずにいる。しかも当の母親は既に鬼籍の人となってしまっているためその解放は不可能なまま。毒舌なのも不遜な態度も全て彼の発するSOSの一種なわけで・・・例えそれに気付いたとしても、本人が自分の意思だけではどうしようもない状態だっただけに切なさは募ります。唯一の味方だった仁を指導する執事の富益ですらもその心の病を治癒することはできずにいたわけで、そうなると焦る本人の辛さと無力感を味わっていただろう富益のどちらもより切なくて堪りません。

最終的にこの病は治るわけではありません。仁という人間に心を開くことができ、あまつさえ性関係にまで至ってもそれだけはやはり治りはしないのです。しかし、将来的に希望が見える。それだけで十分だと思うのです。簡単に治るようであれば、もう何年も乙矢が孤独でいたわけがないのだから・・・。富益が望んだのは決して愛情を交し合う人間ではなかったのでしょうが、結果的に彼の目は乙矢にとって最高の人間を選んだ。実際はまだまだ二人の関係が落ち着いたとは言えないと思う。乙矢の病も含めて色々と。でも、この乙矢がとにかく可愛い人間なのでそんな遣り取りすらも仁はきっと心から楽しみながら実行していくのでしょうね。自分の見る目だけで彼は乙矢という人間の本質に気付き愛しむべき部分を見つけ出していったのだから。
そして仁同様、読みながら私も乙矢の可愛らしさにはノックアウトされそうに何度もなりました(笑)病の理由が関係するにしろしないにしろ、榎田先生が上手く乙矢という人間を小出しに表現されるのでどんどん彼にはまりそうになったり・・・。特に心躍ってしまったのは乙矢が仁の助言に受けて翌日から広い庭をだらだら散歩し始める部分です。反射的に仁の言葉を拒否した乙矢が結局はその助言を受け入れ庭の散歩を始めるその姿の可愛らしさに心臓鷲掴みでした・・・これは私の中の母性本能が感応しているのだと分析してみる。言うなれば乙矢は幼子と一緒です。愛されずに育った彼は情緒面では全くの子供で、その表現方法も感受方法も知らないままだった。だからこそ、仁との出会いで少しずつ変わっていく姿に母親のような気持ちにさせられるのだと思う。もちろん同時に愛しさも。乙矢にはぜひぜひ幸せになってもらいたい!


執事の特権執事の特権
榎田 尤利 佐々木 久美子
大洋図書 2006-01-26
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HACCA at 2006.02.05 | Comments (8) | TrackBack (8) | Clip!! | BlogPeopleTags | はてなブックマーク

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コメント
成田智(06/02/06)

乙矢は可愛いと思います(^^)>HACCAさん
開口一番のセリフでは、何っ!?と思いましたがその後の展開で少しずつ軌道修正されてしまいました。とりわけ毎夜チェスのために原田を待つ乙矢が、何とも言えずかわいいです。
乙矢に入れ込んだおかげでずいぶんと泣きましたが、それでも笑えるシーンも多くて最後まで楽しく読みました。今回もシリアスな会話の中のとぼけたセリフが流石だな?と笑ったあとで思いました。
読み終わってからも暖かさがにじみ出てくる話はいいですね?

HACCA(06/02/06) [TypeKey Profile Page]

>>成田智さん
こんばんは**
乙矢とっても可愛い人ですよね!!
後半になればなるほど私の中の母性が刺激されまくりでしたよ。

>それでも笑えるシーンも多くて?

そうですね。バランスよかったと思ってます。
私もとても楽しく読めましたもの?特に乙矢に関してはもう・・・ってしつこいですね。すみません。有段者の仁に敵視されない内に乙矢ネタからは足を洗おうと思います(笑)

>読み終わってからも暖かさがにじみ出てくる話はいいですね?

ホントに・・・その通りですよね**
私も暖かいお話大好きなので、その意見には思いっきり同意です!

櫻井サクラ(06/02/06)

おはようございます、HACCAさん。

バランスの良さは私も実感、笑わせて泣かせて考えさせてくれる・・・・・・
榎田先生らしいなぁ?と思いました。

HACCAさんの感想にほとんど仁が登場してないのが、面白かったで?す。それだけ乙矢に入れ込んでる証のようで・・・。

TBさせていただきました。
また、遊びに来ます。

TANTO(06/02/06)

お久しぶりです。
私もこの作品を読みながら「これはきっとハッカさんのHPに載るな・・・」とても面白かったのでハッカさんがどういう感想を持ったか
早く読みたい?と思っておりました。
私もツボ!突きまくりで、最後までイッキに読めちゃいました。 
乙矢もいいけど、仁の乙矢に対する態度が、これまたツボでした?
熱く!ない、決して熱血じゃないんですよね。ものずごく自然体で・・
難を言えば、肉体関係に行くまで、ややイッキ感ありで、もうちょい乙矢が、そこまで決心した描写やエピソードを入れて欲しかったです。
ページ数が足りない・・・?のかな
もうちょっと読んでいたかった・・・って、終わるのがやだ?と思った一冊でした。

HACCA(06/02/07) [TypeKey Profile Page]

>>櫻井サクラさん
こんにちは**
すっかり乙矢ラブだった私ですが、仁を忘れたわけではないのです?(笑)
ま、確かに入れ込んでいるのは事実ですが。あははは。
と言うかですね、今回の仁の働きって乙矢の変化そのものに繋がっているので、仁について触れようとすると何故か結果的に乙矢のネタに話が変わってしまって・・・って言い訳ですね。すみません(笑)

どう考えてもこの二人ってセットで一人って感じですよね。
バランスの良さは勿論のこと、榎田先生らしさが如実に現れた作品でもあったと思います。明暗のラインがあるからおもしろい、みたいな感じで。


>>TANTOさん
こんにちは?久しぶりでございます!
TANTOさんの予想通りの行動をとってしまいましたね(笑)
まぁ感想を書き続けているので何となく趣味嗜好もツボも暴露しているような行為と同等なのでそれも当然かも。

>熱く!ない、決して熱血じゃないんですよね。

見た目は冷静ですよね。さすがマネージャー業務が天職の男です。
でも心の中は結構熱い男でした・・・見た目と心中のこの差が魅力です。
よりいっそう妄想が掻き立てられるのです・・・うっとりですな(笑)

>もうちょい乙矢が、そこまで決心した描写やエピソードを?

あ、言われてみればそうかもしれません。
まぁあの乙矢なので頭の中が混乱したままあの結末に辿り付いたという気もしないではないのですが、やっぱり描写として存在していれば、それはそれでまた違う印象を与えたでしょうし楽しかったかもしれませんね。
マンネリ展開になろうとも続編を見てみたいです。もうですね、ベタベタの甘々なラブ満載な二人を見たい・・・ただの願望です(笑)

リリカ(06/02/07)

こんばんは?
今さら言うまでもないことなのですが、同じ本を読んだ感想とは思えない、ハッカさんの素晴らしい文章に目眩がするほどです(本当に・笑)

でも、やはり特筆すべきは、乙矢の可愛さですね。
最初は仁が面白がっているのかと思ったのですが、仁も子どもなんでしょうね。
ふたりでやいのやいの言い合いながら、これからも仲よくしていってくれればいいなぁと思いました。

TBさせていただきます。
なんのゲームやってらっしゃるんですか?

suzuya(06/02/08)

こんにちは、ハッカさん。

もう、皆さん乙矢の可愛らしさにノックアウトされてますね(笑)
かく言う私もまぎれもなく、その一人なんですが。

庭の散歩のエピソードは私も大好きです。
乙矢が居眠りしてる仁の鼻に蝶が止まってるのを見かけるシーン。
仁に触れることのできる蝶を羨ましく思う乙矢の気持ちに、
ずきゅーん、とヤラれました(ハァハァ)

TBいただいて帰りますねv

HACCA(06/02/10) [TypeKey Profile Page]

>>リリカさん
こんばんは。
この作品は結構多くの場所で感想が拝めたので作品の楽しさと共に感想の楽しさも堪能できておもしろ倍でした。やはり色々な見方や気持ちがあるなぁと思い直した次第です。
私の感想は・・・あれですよ、結局は乙矢万歳的な自分の好みネタになってしまったので稚拙だったかもしれないです・・・ううむ、難しいですね。とは言え私もただのホモ好きなのでたまにはこう・・・キャラへの入れあげだけで終わってしまうこともあるということで(笑)

>なんのゲームやってらっしゃるんですか?

おっと。その質問がきますか(笑)
こう・・・忙しい合間に本を読んで更新をすればいいものの、時間が少ないと逆にゲームに手を出して・・・ゴホゴホ。すみません、言い訳です。反省します・・・。
ゲームは元々大好きなので、好きなものが出るとそればっかりしてしまう傾向は強いです。いつもは空き時間に読書なんですが、そうなると空き時間にゲーム、更に残りで読書という感じで優先順位が変わってしまうんですよね??。
ちなみに、年末?1月はキングダムハーツばっかりやってました。ディズニーファンの私にとってあのシリーズは異常な入れ込みゲームとなってしまうわけです。キャラ出てくるだけでいちいち感動するので魔性のゲームだったりします。
そんで今はFF??DOCやってますよ。
ま、これはFF?好きな人はやらずにはいられないものだと思うので(笑)


>>suzuyaさん
こんばんは?。
なんだかそこここで乙矢旋風が巻き上がっているようで(笑)
彼の可愛らしさをどこに見出すかでこの作品のおもしろさって度合いが違うと思うんですけど、私は思いっきりやられているクチです。

>庭の散歩のエピソードは私も大好きです。

いいですよね???。
私もsuzuyaさんのあげられた蝶ネタも好きなんですが、それ以上に「だらだら」という表現が好きだったんです。面倒くさいくせに仁の言葉も納得できるしどうしよう・・・的な感じが可愛くて可愛くて?。
乙矢の子供じみた部分がとても良く表現できてると思うんです。
あの部分でもう「ひ?」と思いながらのた打ち回りでした(笑)







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