深山くのえ&こうじま奈月(小学館パレット文庫)
ファンタジーの様相を感じさせるカバーイラストをきっかけに久しぶりに深山くのえ先生の作品を購入。見るからにアラブものっぽかったというのも興味がわいた理由の一つです。私の中では「アラブ=小鳥」という激しい思い込みが確立されているのですが、さてさて、この作品に小鳥はいるのでしょうか?(笑)
幼い頃の約束を信じ、いつかは結婚できるものと思っていた貧乏仕立屋のサラン(受)は婚約者だったはずのワルダから国宝と結婚するから婚礼衣装を作ってくれと頼まれる。子供の約束だとは思っていても心のどこかで信じていたサランは突然の失恋にショックを受け酒を煽る。少しだけ酔いながらワルダが持ち込んだ材料の宝石の中から1つの指輪を手に取ってしまった事からサランの毎日が賑やかなものになっていく・・・古めかしい指輪がくすんでいたため綺麗にしようと擦ってみたところ、突然目の前に美しい魔人・ラジルシード(攻)が指輪の中から現れたからだった。
魔法のランプならぬ魔法の指輪から出現する魔人と天涯孤独な仕立屋が今回の主人公です。買ってから気付いたのですが、私はこの仕立屋という言葉に弱い・・・同じ意味で帽子屋とか靴屋などの言葉にも弱い。どこか懐古趣味を感じさせる言葉だと思うんです。しかも今回は魔人まで登場しますからね・・・ファンタジー好きの私にはなかなか楽しめる要素が詰まっておりました。
先にネタばらしすると、最終的にラジルシードは人間になります。なると言うより戻れると言った方が正しいです。問題はどうやって戻ったかという点です。実はこの部分が一番楽しみだったのですが、例えばアラジンでは主人公のアラジンが3つの願いの内の1つを使って魔人を解放してあげますよね。それじゃあ今回はどうなるんだろう?と興味津々でした。いくら何でもアラジンと同じという事はないだろうなぁとは思っていたので余計に。回答までは書きませんけど、実はそう珍しくもない方法です。どこかで同じような結末はあるかもしれないです。でもハッピーエンドなので特に気にしないことにします(笑)
それにしても主人公CPよりも、金と権力・名誉に弱いワルダの方が印象深かった。確かに幼い頃の約束なんて忘れてしまっているのかもしれないのですが、ラストで王が姿を消し王妃になれなくなったすぐの身で次の王(人間に戻ったラジルシード)の王妃に推薦してくれとサランに頼みにくるところは驚きです。したたかでもあり、どうしようもなく強欲でもある。まぁ・・・サランとの約束なんて完全に忘れてしまっている可能性が高いのでしょうね、彼女は。
実はこのワルダとの約束エピソードでとても印象に残る言葉がありました。幼い頃の約束を馬鹿みたいに信じていた自分を、サランが情けなさに泣きながら卑下する部分があるのですが、それに対してラジルシードは「約束を守る人間を馬鹿とは言わない」と怒りと共に言い返す。全然ボーイズラブ関連のネタでもないのですが、すごく感動しちゃったんですよね・・・よくよく考えるまでもなく当たり前のことなんですが、悲しいかな今の時代は誠実で正直な人間ほど馬鹿をみてしまうことが多いわけで。そんな中でこんな真っ直ぐな言葉を久しぶりに見た気がする。しかもボーイズラブ小説で。こう言っては申し訳ないのかもしれませんが、これが見れただけで読んで良かった・・・!
そしてメインであるサランとラジルシードについては、予想通りと言うか、予想外だったと言うか。サランは見た目や普段の姿からはあまりわかり辛い激しさを持つ人間でした。ワルダの件にしても基本的に相手を責めもしない彼だったので、優しすぎるおっとりタイプかなぁとか考えてましたが、道理の通らない事や限度を越えた時にはラジルシードにも負けないくらいの男らしさを見せてくれた。こうじま奈月さんのイラストも効果を手伝い17歳という少年らしさの中に時折感じる発展途中の男らしさや、幼さの名残が上手く出てました。
対するラジルシードは元々が王族だった人間なので魔人と言えども偉そうだし、強引。でも自分に自信が持てなかったサランにはラジルシードくらい強引な相手の方が合っているのかも。それは逆も言えることで、サランが真っ直ぐな心と優しさを持っていたからこそ、ラジルシードは放蕩三昧だった過去の自分より、サランを愛している今の自分の方がはるかに幸せなのだと知ることができた。展開と結末としてはベタで王道かもしれませんが、なかなかおもしろかったです。割とすぐ読み終える程度のページ数なんで、ちょっとだけファンタジー気分に浸りたいなら読んでみるのもいいかもしれません。まぁ、小鳥はいませんけどね(笑)

![]() | 柘榴石にくちづけを 深山 くのえ こうじま 奈月 小学館 2005-12-22 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools 他店情報 [bk1 | 楽天ブックス] |



kotonone::詞の音(06/03/09)
>>Juraさん
わ?い、こんばんわ!
実はこっそりと「小鳥」と書いたらJuraさんは気付いてくれるかも・・・とか想像していた不届きものです(笑)
私も基本的にズル賢い人間とかを見ると「痛い目に合え=!」とか呪ってしまいそうになります。あははは。
当然のことながら今回のワルダの件にも「よっしゃ!」とか思って思わず拳を握ったりしてました。
>者さまはそう言うのも意識していたりするのでしょうか…
もしかしたら、してるのかもしれませんねぇ。
私なんぞはJuraさんが教えてくれなかったら全く知らないままでしたよ?もう、フツーに名前という認識しかなったという想像力の貧困な自分にショックかも。がーん。
ちょっと賢くなれました。ありがとうございます?(笑)
こんにちは私も「小鳥」のくだりを読んで一人画面の前で笑ってしまいました、そういえばアラブ=小鳥だったよなぁなんて(笑)
>フツーに名前という認識しかなったという想像力の貧困な自分にショックかも。
やや、たまたま知ってただけなので、知らなかったら私もフツーに名前だと思ってたと思いますよ。
私の知人にハングルの出来る人が居るのですね、やけにハングル熱心だなとか思ってたら最近韓国の女性と結婚されました(笑
その方によると、なんか発音の違いによって意味が少々違うらしいです、素人が聞くと「どこがどう違うんじゃ!」って感じでしたけどね。
と、それくらいの知識です^^;)
>>Juraさん
小鳥ネタ、笑っていただけてよかった?(笑)
土地独特の言葉って難しいですよね。
国内の方言だけでもイントネーションの違いだけで意味が違うことって多々あるくらいですし。私はハングルどころか義務教育課程で学んだ(はず)の英語ですらまともにわかりません・・・。
せめて日本語だけでも堪能になりたいものですが。道は険しいです(笑)
>せめて日本語だけでも堪能になりたいものですが。道は険しいです(笑)
あぁ、それは私もすごく思います、お話を書いているときなんか尚更で、自分のボキャブラリーの無さにいらいらしてみたり(笑)
道は険しいですね…orz
いまさらですがTBさせていただきました
ではでは!
>>Juraさん
お返事遅くなりスミマセン?(汗)
日本語ネタ。
私は今はもう小説は書かなくなってしまったので、Juraさんほど切実さはないかもしれませんが、やっぱり語彙の少なさや使い方の下手さ、間違いに気付くとショックです。
お互い、目の前の山は高いですねぇ(笑)
でも千里の道も一歩からと申しますし、日々精進です。
こんにちは
可愛い感じのお話でしたよね、ワルダの王妃への夢が消えてしまったくだりを読んで「やりっ!!」と喜んだのは私です。
「サラン」ってハングルで「愛する人」って意味だそうですけど、作者さまはそう言うのも意識していたりするのでしょうか…
なんて事もふと思ってみたり。
感想を書いたらまたTBさせていただきます
ではでは。