椹野道流&唯月一(イーストプレス・アズノベルズ)
そろそろかなと思っていたシリーズの続編が登場。前作では内容が内容だったのでカバーイラストも明るくキラキラしていましたが、今回は絵巻物が題材だけあってなかなか渋みのあるカバーイラストでした。実は紫が最近のマイブーム(次のサイトリニュアルでは紫系統でいきたいと思っていたりするくらいです。時期は当然未定だけど)なので特に良く見えているのかもしれない・・・。
妖魔でありながら人間の生活に溶け込み行き続けている司野(しの・攻)と死にかけていたところを助けられた代償に下僕として心身共に捧げることを余儀なくされた正路(受)のコンビに新たな憑き物おとしの依頼が舞い込む。見るからに曰く付きな不気味な絵巻物に取り込まれてしまった持ち主を救い出すという現実離れな依頼を正月早々受ける事になった司野。当然ながら正路も絵の中に作り上げられた異世界へ共に行こうとするが、主である司野は「来るな」と言い置いてたった一人で絵の中に向かって行った。数日待っても戻らない司野に我慢し切れなくなった正路は無謀にも単身絵の中に沈みこんで行く。
全体的に見てもより一層、司野と正路の関係が甘くなっていて時折読んでいて恥ずかしくなるくらいなんですが、妖魔である司野が人間の心の機微に疎い以上、正路がどんな小さい&些細なことでも言葉にして伝えるようにしているからにはこの照れくささは作品を楽しむ上で避けては通れないものですね。正路の惚気のような状況描写が私の中の羞恥心を誘って下さいます・・・これがいわゆる羞恥プレイというヤツかしら(笑)
そして今回の注目点はやはり司野の猫耳(あえてネコミミとは表記しません。複雑なので)でしょうか・・・正直ビックリしたし個人的には歓迎しかねる展開だったんですけど、今作ではそんな司野を見ることが出来ます。前作ではショタ要素があり今回では猫耳とは・・・なんでしょう、これって椹野先生が望んで書いているのか気になります。確かにこのシリーズ好きなんですけど、ちょっとここ二作は内容よりもビジュアル重視的な流れに思えてしまって気分的に複雑でした。いや、可愛いには可愛いんですけどね。でも二作も続くとさすがに疑問に思ってしまうし、そういうビジュアル的な楽しみをこの作品に求めていたわけではなかったので戸惑いが残りました。次回は少しまともになって下さっていると良いのですが・・・。
実際ストーリー展開としては今後の方向性を示唆するような部分も見られますので、さほど典型的な同人傾向に偏ってしまうとは思ってはいませんが、ようやく物語が大きく進みそうなので早く次が読みたいですね。今回の作品を勝手に位置付けるとするならば、今後も最大の敵として登場するであろうカギロイとの戦いに向けてのお楽しみ的な感じです。勿論今回もちゃんと妖魔と戦ったりもするんですけど、基本的に正路語りで司野との関係がより精神的に深くなっていく様を知らしめているというイメージが強かった。
今後への前準備段階とでも言うようなストーリーでしたが、その反面で今回のこの内容でわざわざ一冊とる必要性があったかも少し疑問です。私が思うに今回重要だったのは
最後に正路について。彼は司野の身を案じ自衛のための力はなくとも異世界に飛び込むというとんでもない行動に出ていますが、これは彼の美点でもあり欠点でもありますよね。今までも感じていましたが無鉄砲と言うか考えなしと言うか・・・でも、彼のそんな部分が司野を引き付ける最大の魅力でもあると思います。確かに司野の言う通りちょっと自惚れ気味のように見える部分もありますから、今後は彼のそういう部分がどういう方向に流れるのかも気になるところです。
司野については凄くわかりやすい流れを辿っているため今は正路に対するよりも安心安定した気持ちで見ています。彼が変わっていくのは今までの流れからしても当然ですし、ある程度どうなるのかも予想がつく。そういう意味で一番気になるのはやはり正路だよなぁと改めて思ったのでした。次回作ではどういう展開になるのか楽しみです。とりあえず、物語そのものを進めて下さると嬉しいかな、なんて思っています。

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月と凌霄花(06/07/08)
>>硝子さん
こんにちは、そしてお久しぶりです!!
コメントありがとうございます**
妖僕の感想・・・確かに辛口ですね。
それもこのシリーズが好きだからこそと思って下さると助かると言うか・・・ま、それも言い訳でしかありませんが(笑)
>そんな簡単に視覚的萌えに走ってしまうだろうか
そうなんですよ。
で、後書きで先生があの耳に対してどう思っているか書かれてますよね。
その事から、まさかとは思うけど外的要因があるんじゃ・・・とか勘ぐったり疑ってしまっている部分もあります。
自分でノリノリで書いていたらあんな感想ってない気がするし・・・。
今後への布石だったとしても、先生ならば他にいかようにも表現できたと思うんですよ〜勿論、敢えてそうしたのか等は私にわかることではないんですけど。
あ、ちなみに私は司野の本当の姿形が異形であっても全く気にしません。むしろそっちまで美形や可愛かったりだと、ちょっと出来すぎな気持ちがあるので逆に少し冷めそうです。
いっそいかにも化け物!みたいな姿の方がストーリーとしては楽しめそうだよね、と本気で思っていたりします・・・BLとしてはかなりビミョーなラインでしょうけど(笑)
>現時点では岡野さんに軍配が
硝子さん同様、私も現時点では岡野作品へ即決で旗をあげますねぇ。
同じWHというレーベルでお二方とも似たようなジャンルのファンタジーという点では同等の歴史と実力をお持ちだと思うんですけど、このシリーズと比べたらやっぱり岡野作品が上かなぁ・・・。
妖僕と少年花嫁辺りを比べると引き分け的な気持ちです。
比較するなら後者の作品を例に出したほうがノリも雰囲気も近い作品なので妥当かもしれません。その上で同等と。
ま、少年花嫁の方が現在あんななので、個人的に楽しみたいなら妖僕の方を選択してしまいそうなんですけどね〜少年花嫁の方はちょっと今は私の鬼門にさしかかっていそうなので(笑)
こんばんはHACCAさん、お久しぶり様です、お邪魔致します。
しかし結構辛口の感想ですね。 >私が思うに今回重要だったのは〜
のくだりで「あらあらあら…」と思わず唸ってしまいました。
確かにこの一冊は特に司野の一件で私も(椹野さん、どうされたんだろう…)とちょっとばかりたじたじとなってしまったのですが、椹野さんの芸風を考えるとそんな簡単に視覚的萌えに走ってしまうだろうか、という素朴な疑問もないわけではないんですよね。だからここは好意的にとって何らかの伏線じゃないかと思っているのですが…例えば司野の本来の姿が受け入れ難いような異形であるとか、姿を変容させられる能力が伏線になるとか…(単に安易な読者迎合型の萌えの追求だったらそれはそれでショックなんだか、新しい境地を開拓されたのかと喜んでいいのか困るのですけれど、でも前巻が前巻だっただけに…ううむ)。
…とはいえ、やっぱり、猫耳なんていうポイントで過去の姿を具現させる必要性があったのか、といわれるとはなはだギモンなんですよね。
ところで、これを読みながら岡野麻里安さんの『鬼の風水』をしょっちゅう思い出しました。(HACCAさんなら読まれてそうだと思うのですが)
似たような話を思い出すとついつい脳内比較を始めてしまうのですが、現時点では岡野さんに軍配が上がりそうです。